カルタの絵柄の描かれた道具(今でこそ美術品として扱われますが、元々は生活用具です。)の数々を見て来ましたが、絵柄から推測すると大部分は桃山から江戸初期の物ではないかと考えられます。これらの道具を使用していたのは比較的裕福な上流階級の人々で有ったはずですので、少なくともこの頃にはまだカルタが卑しい、下品な存在では無く、オシャレな南蛮趣味として捉えられていたと考えて良いでしょう。
DEの重箱には漆絵によって彩色されたカルタが多数描かれていますが、他と比較すると少々絵柄の崩れが見られ、江戸中期以降の物と推測されます。南蛮カルタと現代の地方札の中間に位置する感が有ります。
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@カルタ蒔絵文庫 『王朝のあそび』朝日新聞社1988 |
Aカルタ蒔絵香枕 『日本の美術85 南蛮工芸』至文堂1973 |
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Bカルタ双六蒔絵提箪笥 東京国立博物館蔵 『日本の漆芸4』中央公論社1991 |
C同左 『日本の美術32 遊戯具』至文堂1968 |
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Dカルタ漆絵重箱 『南蛮漆芸』美術出版社1971 |
E同左 『日本の漆芸5』中央公論社1991 |
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Fカルタ蒔絵硯箱(蓋裏面) 河村文七氏所蔵 『南蛮美術』講談社1958 |
Gカルタ蒔絵文箱 安田靱彦氏所蔵 『Museum No.22』東京国立博物館編1953 |
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Hカルタ蒔絵硯箱 滴翠美術館蔵 『うんすんかるた』リーチ1961 |
Iカルタ蒔絵香合 南蛮文化館蔵 『王朝のあそび』朝日新聞社1988 |
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Jウンスンカルタ漆絵重箱 |